ドイツ生活 徒然記

ドイツでの生活も6年目がスタート。日々体験したことや感じたことを書いていきます。

クラクフ旅行 #5 アウシュビッツ博物館の見学

前回はポーランドクラクフからアウシュビッツ博物館への行き方についてご紹介しました。そして今回はアウシュビッツ博物館の見学について書いていきたいと思います。

アウシュビッツ博物館への行き方に関してはこちらからどうぞ↓

www.et-chandon.com

 

ブックショップでガイドブックを購入

 

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まずはガイドブックを購入しました。軽食をとれる建物の中にもブックショップがあり、そこでも購入できます。

 

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2種類あり、こちらは25ズロチ(約680円)のもの。表紙見開きが折り込んであるのですが、それを開くとアウシュビッツ内の見取り図&ルート案内になっています。裏表紙はビルケナウの見取り図です。このルート案内に沿って見学していきます。

 

お手洗いは2ズロチぴったりで

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入場する前に軽食や本が販売されている建物でお手洗いを済ませることにしました。男女混合で列ができていたので、なにかと思ったらお金を払う列でした。金額は2ズロチです。お札を出して拒否されていた人を見たので、コインを用意する必要があります。

 

入口&荷物チェック

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入口を進んで行くと

 

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荷物検査があります。A4サイズより大きな荷物を持って入ることはできません。先ほどガイドブックを買ったブックショップの横あたりに荷物預かりの場所があったので、大きな荷物はおそらくそこで預かってもらうことになるでしょう。

チェックを抜けたらそのまままっすぐ進みます。

 

アウシュビッツ博物館 

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敷地内に入ってきました。見えづらいですが、このゲートには「ARBEIT MACHT FREI」労働は自由をもたらすと書かれています。

 

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ここに来る前は重苦しい雰囲気が漂う暗くて悲しい場所だと思い込んでいました。しかし、これまでに大勢の見学者が訪れているからか、風がよく通された広い空間にただただ整然と当時の建物が立ち並んでいるだけでした。私たちを迎えた冬の気配が感じられる冷たい空気は、当時の寒さを想像させると同時に、淡々としていて、感情を排した「もの」たち、すなわち遺品や写真などが置かれた場所に相応しいものでした。

 

ここからは少ないですが、私が写真に収めることができた展示を順不同で紹介したいと思います。

 

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尋常でない数の服。。。収容された人たちが着ていた衣服は回収され、産業用の布に使われました。1942年からは収容者たちの髪の毛が剃られ、それらは織物やフェルトの材料として企業に売られたそうです。2トンあると言われる回収された髪の毛の山も展示されていましたが、とても写真を撮影する気にはなれませんでした。

 

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ガス室の模型

 

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ガス室で使われた薬品の使用済み空き缶。なぜドイツ兵はこれらを取っておいたんでしょうか。

 

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没収されたホーロー食器類。上から撮影しているのでこの画ではわかりませんが、実際は深いコンテナのようなものに入っているため、膨大な量が展示されていました。中には大きなたらいもあって、連行されてきた人たちが収容所のことを何も知らずに連れてこられたことが伝わってきます。

 

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1つ1つ名前が書かれたトランク

 

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大人の靴が展示室両サイドに大量に積まれていました。

 

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収容者たちはそれぞれマークを衣服に付ける必要があり、その説明パネルです。私は知らなかったのですが、同性愛者の人々もこの収容所に連行されていたようです。

 

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収容者が寝ていた部屋。布団がないときは藁が敷かれ、その上で寝ていたそうです。

 

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多くの人が銃殺された「死の壁」は1944年に解体されましたが、戦後復元されてこのように供物をそなえたりすることができます。私もここで黙祷しました。

 

写真はありませんが、収容所の監獄の見学で地下に続く階段を降りるとき、とても怖くなりました。また、現在復元されているガス室は暗くて、当時のことを想像してしまい恐ろしい気分でした。

 

ビルケナウ

アウシュビッツ収容所には当時3つの場所に分かれていました。ビルケナウもその1つです。無料のシャトルバスで5分くらい走ると到着します。

 

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ここが入口です。特にセキュリティチェックはありませんでした。入って右手にお手洗いがあり、2ズロチで利用することができます。

 

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ポーランドの農家から奪って収容所にしたというこのビルケナウ。とてつもなく広くて全て歩くことはできませんでした。

 

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この線路が続く先にガス室があります。ここビルケナウでは1942年から1944年の間に100万人近いユダヤ人がガス室で殺されました。

 

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もともと馬小屋だった場所に収容者たちは寝ていました。この中に400人が収容されていたそうです。

 

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用を足すための穴が大量に開けられています。

 

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こうしたバラックが300あまり立ち並んでいます。ひたすら広かった。

 

始めにも少し書きましたが、展示はとても客観的で感情は入っていません。剥き出しのものを受け止めることは正直辛かったです。人類史上最も悪名高い殲滅施設であったはずなのに、ひたすらものや出来事が淡々と描写され、戸惑いを覚えました。その徹底した展示姿勢からは、この虐殺が単に「ナチスドイツが犯した犯罪」という小規模な話ではなく、今を生きている全ての人が考えるべき人類の過ちなのだというメッセージが伝わってきました。そして、これは「遠い海の向こうで起きた過去のこと」という類ではなく、「人が地球上に生きている限り起こる可能性があること」として日本人である私たちに突きつけられている気がしました。

 

見学覚え書き

アウシュビッツ見学所要時間 およそ2時間

・ビルケナウ見学所要時間 およそ1時間

・ガイドブックを購入してそれに沿って進むと効率よく見学ができる

アウシュビッツービルケナウ シャトルバスで5分ほど

 

おまけ:スナックスタンド

アウシュビッツのバス停の横に小さなスナックスタンドがあり、見学の前後に立ち寄ったので書いておきたいと思います。

 

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アウシュビッツに到着した時刻は8時20分頃だったでしょうか。朝ごはんも食べずに始発バスに乗ったので、すぐここで朝ごはんを食べました。サンドイッチは12ズロチ(約330円)ホットチョコレートは8ズロチ(約220円)でした。訪問したのは9月中旬でしたがかなり冷え込んでおり、ホットチョコレートの温かさがとても嬉しかったです。また、見学終了後もバスを待っている間にすぐコーヒー(8ズロチ)を買うことができて便利でした。ホットチョコレート、コーヒーいずれも粉末タイプをお湯で溶かして飲むインスタントなわけですが、なぜか非常に美味しく感じました。

 

アウシュビッツはツアーに参加しなくてもいい。行って自分で感じ取る場所だから。」出発前に夫が私に言った言葉が見学した後わかった気がしました。初めは義母とツアー参加を検討したものの、結果的には自分たちのみで見学してよかったと思います。それは、自分たちのペースで回れたことと、ガイドブックが丁寧に作られているので説明を聞きながらでなくても理解できたからです。ただ、もしツアーに参加していたらガイドの方や他のツアー参加者の方との交流を通じて別の体験があったには違いないと思います。どちらがいいとは言えませんが、1つ言えることは、できることならアウシュビッツオシフィエンチム)に来て自分でこの空気を感じてほしいということです。人はそれぞれ感じることが違います。ぜひ自分で感じたことを反芻し、これから生きていく中で振り返ってみてください。私も10年後、20年後と振り返ってみたいと思います。

 

以上、アウシュビッツ博物館についてでした。