ドイツ生活 徒然記

ドイツでの生活も6年目がスタート。日々体験したことや感じたことを書いていきます。

マウリッツハイス美術館探訪 フェルメール 真珠の耳飾りの少女

いよいよ師走も残すところあと数日となりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は先日思い切って、長年の想い人である青いターバンを巻いて大きなパールを耳に下げたあの人に会ってきました。今回は他に会えた作品たちを交えながら美術館を紹介したいと思います。

<目次>

なんとなく惹かれるフェルメールの絵画

私がなぜフェルメールを鑑賞するようになったのか、そのきっかけは実はもう覚えていません。それでも、学生時代フェルメールの絵画が見られる展覧会が開催された折には足を伸ばして見に行った覚えがあります。そして、フェルメール好きの人なら誰しも見たい『真珠の耳飾りの少女』が展示されているのがマウリッツハイス美術館。ウィズコロナとなった今やヨーロッパ圏の行き来はパンデミック以前に戻りつつあります。しかし、いつ何時また世界規模の疫病が爆誕するかわかりませんし、行けるときに行ってしまおうということで今回オランダ行きを決めました!勢い大事!

マウリッツハイス美術館の場所と施設

マウリッツハイス

オランダはデン・ハーグにあるマウリッツハイスは200年の歴史を持つ美術館です。2022年12月現在は感染予防対策で、混雑を制限するために予約制となっています。予約時間の10分前後は入場可能となっていますが、コインロッカーに荷物を預けたり、クロークにコートを預けたりする時間を考慮して早めに到着されることをおすすめします。私は5分過ぎに到着してしまい、めちゃくちゃ焦りましたが、展示入り口の係員の人にコートを預けたいと相談するとチケットが無効にならないように先にバーコードをスキャンしてくれて、預けておいでとクロークに行かせてくれました。

 

住所:Plein 29, 2511 CS Den Haag, Niederlande

ホームページ:マウリッツハイス | Mauritshuis

チケット:18歳以下無料、学生12.5ユーロ、大人17.5ユーロ

マウリッツハイスの入り口は地下にあります

誤って正面扉のドアノブに手をかけそうになりつつも、地下への階段があることに気が付きました。ここから下へ降りて、入り口左手にいる係員にチケットのバーコードをスキャンしてもらって入場します。ちなみにクロークは無料で、コインロッカーはリターン式のものがクロークの裏(トイレの前)にあるので、荷物はそこへ。マップも置いてあるので必要な方は持っていくといいと思います。

マウリッツハイス美術館 (左手)クローク(奥)出入り口

 

ミュージアムショップの上にはカフェレストランがあります。こちらは地上からも入店でき、美術館に入らずとも利用できます。

ミュージアムショップとカフェ

ホットチョコレートで休憩

ホットチョコレートホイップクリーム!店員さんが天使のように感じが良くてホットチョコレートもアツアツで美味。めちゃくちゃ癒やされました。

 

マウリッツハイス 珠玉のコレクション

マウリッツハイス

ここからは順不同で私の気になった作品などを紹介します。写真にてご覧ください。

ヘラルト・ハウクヘースト デルフトの新教会 ウィレム1世廟

まるで写真のように精緻に表現された教会内部。構図も思わずため息が出てしまうほどの美しさです!

アドリアーン・コールテ 苺のある静物

この静物画は比較的小さめで、控えめな印象を受けるのですが、ひと目見て「かわいい!」と言ってしまうほど可憐で素敵な絵でした。

ルーベンスブリューゲル 楽園のアダムとイブ

様々な動物たちが色鮮やかに描かれていて見ていてとても楽しくゴージャスな作品でした。

アルベルト・エックハウト 2匹のブラジルの亀

キャンバスに描かれた2匹の亀さんたち、実は実際にはない歯が細かく描かれているのですー!

パウルス・ポッテル 雄牛

ものすごくリアルな牛と羊が巨大なカンバスに描かれており、とても迫力がありました。とにかく子羊がかわいい。

華やかな絵画たち

花瓶の静物画をメインにカラフルな絵が掛けられた非常にきらびやかな印象の部屋。

バルタザール・ファン・デル・アスト 万里花器にある花、貝殻を添えて

こういう地味な絵が好きなんです…。画家って花を生けるセンスも良かったのでしょうか。花の絵は見ていて楽しいです。

ピーテル・クラース 盃のある静物

銀の燭台の重みや質感、酸っぱそうなレモン、そして水の透明感がすごく伝わってきます!

クララ・ペーテルス チーズ、アーモンド、プレッツェル静物

今にも香ってきそうなほどリアルなチーズ。

ホーファールト・フリンク 高椅子の側の少女

高貴な家で何不自由なく暮らす子どもの傍らに置かれた砂糖菓子がプランテーションでの過酷な労働をほのめかし、貧富というテーマがこの絵画には隠されているそうです。私の第一印象は「若干…山田花子似!?」でしたが…

ミカエリナ・ウォーティエ 聖母の教育

この作品は長いこと男性画家によるものだと長年考えられていたそう。確かにこのような宗教画は大抵男性画家のものが多く飾られていますよね。

バルテル・ブライン・ザ・エルダー ヤコブ・オンファリウスの肖像&エリザベス・ベリンハウエンの肖像

この女性の表情が冷たいんですが、実物の絵画はとても美しくて!ミュージアムショップにもポストカードが売っていたくらいです。

アンソニー・ヴァンダイク アンナ・ウェイクの肖像

私の大学時代の同期(日本人)にこの女性にすごく似てる子がいて彼女の美しさを思い出した私にとってのノスタルジックな一枚。

ピーテル・パウルルーベンス ろうそくを持つ老婆と少年

おばあさんの表情が写真のようでろうそくの灯りも熱を感じそうな見惚れる作品。(写真に後ろの照明が写り込んでしまってすみません)

レンブラントの部屋(筆者命名

マウリッツハイスはレンブラント作品がたくさんありました。個人的には黒が多いところと、荒々しいタッチがちょっと怖い感じがするんですが、一度レンブラントの扉を開けたらきっと深みにはまりそうな画家ですよね。

レンブラント テュルプ博士の解剖学講義(写真中央)

レンブラント25歳のときの作品。意外と大きな絵で存在感たっぷりでした。横たわる死体と目線が交わらない聴講者と博士の姿がすごくシュール。

レンブラント シメオンの讃歌

この絵はレンブラントの得意とされる光と闇の対比が効果的に使われていて非常に美しい作品でした。神聖な雰囲気と厳かな空気感が伝わってきます。

展示室15 フェルメール

実はマップの存在に気が付かなくて当てずっぽうに階段を駆け上がり、一番初めに入室したのがたまたま展示室15。心の準備ができぬまま飛び込んだ私はいきなり現れたフェルメール作品に息を呑むことになるのでした。

1660-1661 ヨハネス・フェルメール デルフトの眺望

デルフトの眺望は日本にまだ貸し出されたことがないそうで、私も初めてお目にかかりました。建物群は実際よりも整った形で描かれているそうです。

1653-1654年 フェルメール ディアナとニンフたち

フェルメールの作品の中で唯一ギリシャ神話を主題として描かれた『ディアナとニンフたち』。月の女神がお付きのニンフたちに足を洗ってもらっています。

1665 ヨハネス・フェルメール 真珠の耳飾りの少女

実物は思っていたとおり美しかったです。この絵は肖像画ではなく、トローニーと呼ばれる習作などでよく描かれるジャンルに入るそうです。若い頃はこんなに大きな真珠が存在するんだ!?と思っていましたが、誇張して描かれているのだそう。それにしても髪の毛を一切隠した状態って顔面偏差値高くないと耐えられませんよね〜。美しい。何度も何度もこの部屋に戻ってきては後悔のないように眺めました。展示室15は見回りをする監視員の他に警備員らしき人が常に目を光らせていて怪しいアジア人と思われたかも(苦笑)

フリック・コレクション

私がマウリッツハイスを訪れた際は運良くニューヨークのフリック・コレクション展が開催されており、こちらの作品を含めた10点が2023年1月15日までマウリッツハイスで見られます。

1657年 ヨハネス・フェルメール 士官と笑う娘

まさかもう1点フェルメールを見られるとは思っていなかったので、とてもラッキーな気分!柔らかい光と雰囲気に癒やされます〜。

レンブラント 自画像 フリック・コレクション

レンブラントの自画像は結構大きくて迫力満点!


真珠の耳飾りの少女とマウリッツハイスそしてフェルメール展2023

マウリッツハイス200年の歴史を振り返る壁展示より マウリッツハイスにて

ヨハネス・フェルメールが描いた『真珠の耳飾りの少女』は絵画コレクターでオランダの軍人だったA.A.デ トムという人物に1881年にハーグのオークションで2ギルダー30セント(ギルダーはユーロ以前のオランダ通貨で100セント=1ギルダー)で落札されています。その後彼が1902年に亡くなった後、マウリッツハイス美術館に遺贈されました。(幽霊が運んでます!)

マウリッツハイスでは2012年から約2年の間改修工事が行われ、その間に真珠の耳飾りの少女は一度日本に来ています。しかし、改修工事が終わってからはこの絵画が他の美術館に貸し出されることはほとんどなくなったそう。

しかし!同じ国内オランダのアムステルダム国立美術館では現在史上最大のフェルメール展が企画されています。なんとフェルメールの35作品のうち、28作品(著者調べ)がオランダに集結するまたとない機会なんです。但し、どうやら展示替えも予定されているらしいので全てが同時に見られるわけではなさそう。ということで、会期の2023年2月10日から6月4日は真珠の耳飾りの少女アムステルダムに行けば会えます。マウリッツハイスにはいないのでお気をつけください。

気になる方はぜひアムステルダム国立美術館のサイトをチェックしてみてください↓

Vermeer - Rijksmuseum

 

マウリッツハイスを訪れて

美術館の窓からの景色

ずっと憧れていた真珠の耳飾りの少女を間近で見ることができ、そして、久々に美術館を歩けたことがとても嬉しく、充足感のある訪問となりました。美術館自体も非常に美しく、マウリッツハイスはまさしくオランダの宝だと感じました。

 

ライトアップされたマウリッツハイス

今回15時に予約をして2時間ほど滞在しましたが、外へ出てみるともう真っ暗でした。昼のマウリッツハイスも美しいですが、夜のライトアップも趣があって素敵。

 

オランダを訪れる際にはマウリッツハイスに立ち寄ることをぜひともおすすめします!以上、マウリッツハイス美術館探訪でした。今日もご覧いただきありがとうございました〜!!

 

<参考>