ドイツ生活 徒然記

ドイツでの生活も6年目がスタート。日々体験したことや感じたことを書いていきます。

フェルメール『窓辺で手紙を読む女』の修復後の姿を見に行ってきました

先週の金曜日、ザクセン州クレッチマー首相が緊急会議を経て決定した新たな防疫措置について発表しました。残念ながら、準備が進められていたクリスマスマーケットは中止です。お隣オーストリアはワクチン接種の有無に関わらず11月22日月曜日からロックダウン。ドレスデンは既に11月19日からワクチン未接種者のロックダウンを開始しています。新たな変異種オミクロンもヨーロッパはベルギーで見つかり、終わりの見えない状況に疲弊感が漂っています。

そのような事態に現在美術館は閉鎖されていますが、先月アルテマイスター絵画館に行くことができたので、そのときの様子を書いておきたいと思います。

<目次>

ドレスデンアルテマイスター絵画館

可愛らしいキューピッドで有名な、『システィーナの聖母』を所蔵していることで有名なこの美術館はツヴィンガー宮殿の中にあります。

住所:Theaterplatz 1, 01067 Dresden

☆2021年11月27日現在臨時休館中

ホームページ↓

Gemäldegalerie Alte Meister: Gemäldegalerie Alte Meister

 

フェルメール

ドレスデンアルテマイスターにはフェルメールの作品が2点収蔵されており、2021年9月10日から始まったフェルメール展ではその2点のほかに、8点のフェルメール作品を他のオランダ画家の50作品とともに鑑賞することができます。

フェルメール展期間とチケット

2021年9月10日〜2022年1月2日 大人1人12ユーロ(約1500円)

☆2021年11月27日現在臨時休館中

なお、ドレスデンでのお披露目が終わると『窓辺で手紙を読む女』はすぐさま日本に貸し出されるようです。

「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」東京都美術館で、初期傑作《窓辺で手紙を読む女》修復後日本初公開 - ファッションプレス

 

アルテマイスターフェルメール展 展示作品

アムステルダムから来た『デルフトの小路』だけ写真を撮っていないのですが、他9作品について載せておきたいと思います。

 

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『取り持ち女』 1656年

アルテマイスターが所有するフェルメール作品2点のうちの1つ、『取り持ち女』。2004年に修復されています。非常に華やかで、写真ではわかりにくいですが、きらきらしてとても美しかったです。ちなみに一番左側にいる人物はフェルメール自身を描いたものではないかと言われています。

 

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『地理学者』1668年-1669年 シュテーデル美術館(フランクフルト)

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『天秤を持つ女』 1662-1663年 ナショナル・ギャラリーオブアート(ワシントンD.C.

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『ワイングラスを持つ娘』 1659-1660年 ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館(ブラウンシュヴァイク

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『中断された音楽の稽古』 1658-1659年 フリック・コレクション(ニューヨーク)

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真珠の首飾りの女』1664年 絵画館(ベルリン)

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『青衣の女』1663-1664年 アムステルダム国立美術館アムステルダム

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『ヴァージナルの前に立つ女』1670-1672年 ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

アムステルダム国立美術館所蔵の『デルフトの小路』は残念ながら写真がありません。一緒に行った夫も記憶にないということで、二人とも見落としている可能性があります。。。

 

それではお待ちかねの『窓辺で手紙を読む女』です!まずは修復前の絵画をご覧ください。写真は2016年に撮影したときのものです。

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窓辺で手紙を読む女 (修復前)

一般的によく知られているフェルメールの作品ですよね。2017年から4年をかけてドレスデンで修復されたこの絵画、いったいどんな感じに仕上がったのでしょうか。

 

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窓辺で手紙を読む女 (修復後)

修復によって全体が明るくなり、鮮やかな印象を受けます。少女の後ろの壁には長い間フェルメール自身が塗りつぶしたと思われていたキューピッドの絵がかけられています。修復の過程で絵の具の層を調べた際、フェルメールの死後に塗りつぶしが行われていたことが判明。画家の意図した絵を忠実に再現、継承していくことを目的として、今回その白塗りが修復時に取り除かれたのです。

 

フェルメール展を鑑賞して

フェルメールは昔から好きで、展示があるところへ出かけて行っては眺めていた私にとって今回の企画展は非常に興奮するものでした。現存する作品数が極めて少ないフェルメールの作品は大抵オランダの他の画家の作品と一緒に展示されるのですが、そのうちの10作品もが集結したということで、横を見ればまたフェルメール!というなんとも贅沢な、個人的には事件のような展覧会でした。奇跡的に修復が始まる前の2016年に『窓辺で手紙を読む女』を鑑賞できていたので、今回比較もできて大満足です。

2021年の9月に展覧会が始まり、見に行きたいと思いつつも予約の枠は早期の段階で瞬く間に埋まり、ようやく予約が取れたのが10月後半、金曜日の夜でした。11月22日から臨時休館が始まってしまったので、その前に見学できてラッキーでした。来場者間の間隔を一定程度保つため、完全予約制で運営された美術館内は人混みもなくスムーズに、心ゆくまで鑑賞できました。

修復の結果に賛否が分かれる『窓辺で手紙を読む女』ですが、みなさんも機会があれば、東京都美術館で来年見られるようなので、ぜひ自分の目で確かめてみてください。個人的には、修復されることによってより色鮮やかな、そして構図の違う新たな絵を鑑賞することができたので、修復されてよかったと思っています。修復前は静謐さが際立ち、少し寂しげな様子に見える少女が、修復された後はキューピッドの後押しを受けてより気高く凛としているような印象を受けました。