ドイツ生活 徒然記

ドイツでの生活も6年目がスタート。日々体験したことや感じたことを書いていきます。

ドイツで入院 救急車で搬送された話

久しぶりの投稿となりました。前回コロナウイルスワクチン2回目接種について書いたのですが、まさしくワクチンを打った日にぎっくり腰(Hexenschuss:ヘクセンシュス)をやってしまい、翌日救急車を呼びました。今日はそのときのことを書いておきたいと思います。

<目次>

ドイツの救急車と緊急連絡

EU全体で救急(Notruf)は「112」に電話をかけます。今回、私はワクチン接種2回目の翌日で発熱があり、めまいと息苦しさに加えて腰の痛みが強く、自力で歩くことが困難な状態でした。どちらか一方のみ(ワクチンの副反応かぎっくり腰)だったら自分で病院に行くことができたと思いますが、このときは人生で初めて救急車を呼んでもらいました。

 

ドイツの救急車は、患者の搬送をするKrankenwagen(クランケンヴァーゲン)、日本の救急車に近いRettungswagen(レットゥングスヴァーゲン)、医師が同乗するNotarztwagen(ノートアーツトヴァーゲン)の3種類があり、電話をかけたときに伝える状況によって派遣される車が変わってきます。私はおそらくRettungswagenが来てくれたのだと思います。救急車は夫に呼んでもらったので、到着した救急隊員に改めて自分の状況を説明。血圧をその場で測ってもらい、問題ないことがわかると、ストレッチャーに乗せてもらって文字通り運ばれました。救急隊員は3名で、私の様子が命に関わる状況でないことがわかると皆ほっとしたような表情で、とても優しく接してくれました。救急車に乗る際は、健康保険証の提示が求められるので、保険証は必ず携行する必要があると今回身を持って感じました。

 

救急車で病院へ 

朝9時過ぎに、近所の病院へ到着すると同乗してくれた夫は中に入れず外で待たされることに。私はストレッチャーからベッドへ移された後にここでも血圧を測られ、妊娠の有無を聞かれました。その後ベッドごと診察室(?)に移されて研修医の問診を受け、採血、レントゲン撮影を経て廊下でしばらく待機(放置)。その後レントゲン写真についての見解を診察室で聞くことに。レントゲンには骨に小さな古い傷が写っており、お医者さんからは最近でも昔でも、事故などなにかしら心当たりがないかどうか聞かれ、2年半ほど前に自転車で走っているときに車とぶつかったことがあると話しました。ただ、当時はガソリンスタンドからそろそろ出てきた車とぶつかった事故で、翌日足が少し痛みましたが特に警察も呼ばずに終わった程度でした。そしてこの時点でぎっくり腰に関する話は一切なく、自分の置かれている状況が全く把握できないまま、お医者さんは退室。到着時に血圧を測ってくれた看護師さんがやってきてコロナウイルスPCRテストを2回分行い、糖分を注射。その後「Stationに行きますよ」と言われ、点滴用の針を腕にセットされて名前が入ったバンドを手首に付けられました。「Stationとはなんですか?」と聞くと、詳しく専門の部門が検査をするところだと言われ、なんとなく検査入院になるということを理解した私。「家族に連絡しますか?携帯はある?」と聞かれ、「夫が一緒に病院に来ていて、待っているはずです」と答えると、看護師さんが「外を見てくるわ」と言って、ちょうどしびれを切らした夫と合流し、戻ってきました。この時点でなんと11時半。かわいそうな夫は何も情報が与えられないまま2時間も外で待っていたそうです。

 

ドイツで検査入院:1日目(木曜日)

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2人部屋の病室

病棟の方にガラガラとベッドを運ばれ、2人部屋に到着すると、病棟の看護師さんがスープを飲むか聞いてくれて、トマトスープとお水を持ってきてくれました。その後しばらく夫が一緒にいてくれましたが、午後に検査をするかと思いきや何も起きそうにないため、夫は一旦帰宅することに。その日私は点滴を受けてひたすらベッドで寝て、食後には痛み止めを飲む、という完全安静状態。38.5度まで上がった熱も、点滴と睡眠のおかげで37度まで下がりました。何日入院しなくてはならないのか状況が全くわからないため、何がどれくらい必要なのかなど情報がアップデートされることなく1日目が終了。夜まで2人部屋を1人で独占していましたが、22時頃にドイツ人女性が運ばれてきて、同室の仲間ができました。

下の写真は初日の晩ごはんで、黒パンか白パンか、パンは1枚か2枚かを選びます。晩ごはんの時点では、午後中ずっと安静にしていたのと、痛み止め点滴(普通の点滴の後に入れられました)のおかげで腰の痛みも少し和らぎ、身体を起こして食事を摂ることができました。

 

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ドイツで検査入院:2日目(金曜日)

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病院での朝食

朝食前にレントゲン写真の説明をしてくれたおじさん先生がやってきて、レントゲンで見つかった傷について今日は検査をします、とのこと(やっと状況のアップデート)。前日夜に入院した女性はマリアという名前で、年齢は30代半ばから後半くらい。自転車に乗っていて事故に遭ったという彼女はどうやらベジタリアンのようで、とても細い身体をしていました。自営業で修理工を生業とするマリアは独身で、シェアハウス(ドイツではWGと言います)に住んでいると言っていました。朝9時過ぎ頃に彼女がベッドごと移動した後、私もベッドごと移動。MRI(ドイツではMRT)の検査室に到着すると、検査台へは自分の太ももに腕を突っ張って腰をくの字に曲げた状態で自力で歩くことができました。初めて受けたMRIは体感で10分か15分くらいだったでしょうか、結構長い間に感じました。昼食を摂った後、マリアはベッドではなく車椅子で再度運ばれて行きましたが、私の方はMRIの結果についても何日入院するかも情報が更新されることはありませんでした。

 

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窓際のベッドでした

状況が読めない中、携帯の充電は朝の時点で10%台だったため、夫にお願いして充電器と着替え、ドライヤーにシャンプー&石鹸をこの日の午後に持ってきてもらいました。

 

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病院での夜ごはん

 

マリアは退院することになって、首を固定するための器具を付けたまま、迎えに来た友人とともに夕方病室を去っていきました。だいぶ動けるようになった私は看護師さんに点滴用の針を取ってもらって、夜にシャワーを浴びることにしました。その日のシャワーの気持ちが良かったこと!温かいお湯の持つ癒やしの力に改めて感動しました。

 

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2人部屋のお手洗い

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お手洗いに併設の広いシャワー室

ドイツで検査入院:3日目(土曜日)

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病院での朝ごはん

入院3日目、この日は体温を一度も測られることはありませんでした。8時頃に今までとは異なるおじいさん先生がやってきて、いつ退院する予定ですか?と聞かれ、「何も聞いていません」と答えると、「また来ますね」とのこと。午前中は夫が気を遣って持ってきてくれた語学学校の教科書や雑誌、本などを読んで過ごしました。

 

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病院でのお昼ごはん

昼食を摂って歯磨きをしようと洗面所に居たところ、今朝のおじいさん先生がやってきて私の状況について説明をしてくれました。MRIの結果、椎間板が2つ飛び出てしまって神経を障っている、つまり椎間板ヘルニアというやつですね。私は今まで病院にもほとんど行ったことがなく、椎間板ヘルニアについてほとんど無知だったのですが、おじいさん先生は私がわかるように図を書いてくれて丁寧に説明してくれました。いつ退院できますか、と聞くと今日退院できるとのこと。ただ、かかりつけ医に行って、理学療法の指導を受ける必要があるという説明でした。私が仕事にいつ戻れるか気にしていると、日本では休めないかもしれないけれど、ドイツではよくあることだからそんなに気にしないでしっかり治しなさいと言われてしまいました(笑)

夫に迎えに来てもらい、かかりつけ医に渡す検査結果やお医者さんからの手紙を看護師さんから受け取って退院。特に請求もなにもありませんでした。2泊3日の入院でしたが、病室を去る際には夫が買ってきてくれたリンツのチョコレートをお礼として看護師さんに渡しておきました。

 

入院時に必要なものと病院で提供されるもの

病院で提供されるもの

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大きなタオルと小さなタオル(袋状で手を入れられるようになっている)
  • Wi-Fi
  • タオル
  • 歯ブラシ(歯磨き粉はなし)
  • プラスチックコップ
  • 寝間着のようなもの
入院時に家族や友人に持ってきてもらうもの
  • 着替え
  • ドライヤー
  • シャンプー、ボディーソープ
  • 歯磨き粉
  • イヤホン
  • スマホの充電器

病室にテレビはありますが、イヤホンを持参する必要があります。寝間着のようなものは同室のマリアが着替えていましたが、なぜか私のベッドには置いていませんでした。日本で入院したことがないので比較ができませんが、病室はゆったりとした作りで窓も大きく冷暖房も完備されており、2泊3日を快適に過ごすことができました。

 

ドイツ入院で学んだことまとめ

  • 救急連絡は112
  • 健康保険証必携
  • 救急車の同乗者は病院内へ入れないし、受付もない
  • 入院費用は健康保険で賄われる
  • 退院時は看護師さんへお菓子を差し入れ
  • かかりつけ医に検査結果などを共有するため同意書にサインする

同意書のサインについては2部サインして1部を自分の控えとして持ち帰ります。インターネットで調べたところ、看護師さんへ昔はチップ(Trinkgeld)を渡していたようですが、現在は看護師さんが現金を受取ることが禁じられているようで、お菓子を渡す慣習になったとか。ちなみに、理学療法についてはかかりつけ医に書類を発行してもらい、自分で理学療法のクリニックを探してアポを取る必要がありました。私の場合は6回の施術が必要とのことでしたが、MRIの情報を理学療法のクリニックに共有することも、新しくレントゲンなどを撮ることもないので、自分で患部について(場所など)説明する必要がありました。

 

ドイツにまるっと3年おりますが、病院へかかったことも入院したこともなかったので、今回は非常に勉強になりました。そして、3年間の中でこんなにドイツ語漬け(2泊3日ですが)になったことが初めてで、乗り切れてよかったなと思いました(苦笑)それにしても情報が全然更新されなくて会社にも夫にもどのように伝えればよいか非常に困った入院生活でした。なお、現在理学療法の治療中ではありますが、普段通りの生活を送ることができていますし、仕事も支障なく行えています。いつ何時なにが起きるかわからないので、みなさんも自身の健康を過信せず、身体の声に耳を傾けてあげてくださいね。